暑中お見舞い申し上げます。

暑中お見舞い申し上げます。

ちょっとした、コスプレ姿で、気取ってみたが、お盆の暑い日に、あの、蒸し暑い京都に、わざわざ大阪から泊まりに行く。なんていう感覚は、とっても大阪人なワタシには、全く理解しがたい感覚で、ところが、奥方も生粋の大阪人で、なのに、ひと月ちょっと前に、ネットで見ていたら、偶然、お盆に、「俵屋旅館」が、ひと部屋だけ空いていたから、予約しておいたでぇ!っという。

お盆が近づくに連れて、確かに、一度は泊まってみたい旅館やけど、夏の京都はなぁ…。別の季節がエエなぁ…。涼しい場所行きたいなぁ…。うちの家で、冷房効かして、ゴロゴロでエエけどなぁ…。なんていう気分が、脳裏をかすめていたが、それが、有名アウトドアーメーカーの店舗として、京都三条の京町家を改装する工事が、急ピッチで進行していて、お盆の間に、うちの大工さんや、協力会社の大工さんなど、集まるだけ集まって、施工を進める事になっていた。丁度、宿泊する日の前後だったので、激励のために、現場に立ち寄れそうだと分かって、お盆の間際になって、俄然、宿泊する気分が高まった。時として、奥方は、そういう、「引きの強さ」みたいなものを発揮する。

台風警報が、少し大げさ過ぎるのでは…とおもえるほど、しっかり発令されていたので、宿泊当日の京都への高速道路はガラガラだった。なので、その日のお昼に、思い立って、三十三間堂の前にある、谷口吉生設計の京都国立博物館に立ち寄ることにした。NYの近代美術館も良かったが、ここも、端正で、シュッとして、静けさがあって、とってもエエ雰囲気。じつは、2018、2016年と、秋に、京都まで自転車で往復するライドを楽しんでいて、その時、必ず三十三間堂の南大門をくぐていた。左手に三十三間堂を見て、南大門からの軸線上の、向こうのほうに、近代的で端正な京都国立博物館の門があって、その向こうに、博物館の新館の姿が見え隠れして、なんだか格好良さそう…、一度行ってみたい…。そんな潜在意識のようなものがずっと潜んでいて、この台風の影響なのか、唐突に、衝動となって、吹き上げられた感じ。

午後3時過ぎに、車で、俵屋旅館に到着する。笑顔のおもてなしを受けて、いかにも京都的な、長屋門をくぐって、オープンエアーな前庭をクランク上に通過し、家のような、簡素で趣のある、玄関土間に入って、左向いて、靴脱ぎ石に上り、靴を脱いで、板と畳が敷き分けられた玄関の間に上がる。右手に向かって、中庭が見えて、風情のある京都の老舗旅館に泊まるのだ!という、気分が盛りあがってきて、右手に中庭を見ながら、左奥に進んでいくと、オーソドックスでエエ感じの階段があって、その向こうに穴蔵に入っていくような奥の廊下があり、その手前で、こちらです。っと左手方向を案内されて、扉を開けて入った部屋に、前室があった。その襖戸を開けると、目の前にデーンと掘り座卓があって、その前に坪庭がある光景が広がって、その右手の続き部屋の、数寄屋造りで、面皮柱の、シュッとした和室に通された。この、偶然空いていた部屋が、「竹泉の間」で、建築家の中村好文さんが本にスケッチしている部屋だった。

奥方が、備え付けの本、村松友視著の「俵屋の不思議」や、中村好文著の「意中の建築」のページをめくり、そのページのなかの、俵屋竹泉の間での中村好文さんの写真と同じポーズで、記念写真を撮っとこぉ!と宣う。お洒落な柄の浴衣に、ちゃんとした帯を、ぐっとハラに巻き付けて、掘りごたつに座ってポーズを取るワタシ。そうそう、本で読んだ憧れもあるが、ある日、堺の名家のお祖母さんが、俵屋旅館に宿泊し、その翌日にお会いする機会があって、建築とか料理とか、ま、それはそれで、エエんやけど、今まで、あんな、エエ布団で寝たことないわ。今まで泊まった旅館のなかで最高の布団やったわ!と、仰ったコトバが、深く印象に残っていた。そのちょっと固めで寝心地のエエ布団で寝られたことも、エエ体験だった。それより、なんといっても、吉村順三さんの本のなかで、内法が高く小壁が小さいプロポーションの和室の格好良さを語っているくだりがあって、立って、座って、寝て、そのプロポーションを体験できたのが、なによりもの建築的体験だった。

翌朝、朝食に出された、カワイくてカッコエエ木箱の湯豆腐セットを見て、この旅館の全てのモノに対する店主のコダワリとアイを感じながら、京都のあの薄味でコクのある湯豆腐で朝食を頂く。9時過ぎにチェックアウトして、歩いて、イノダ珈琲本店に向かう。コーヒー飲んで、大工さん達が休憩する10時過ぎを見計らって、ほんのちょっと歩いて、現場に着いた。丁度、近くの公園で、全員で休憩しているところだった。皆さん、暑い中、お盆の休みの中、ご苦労さまでした!

木村工務店では、8月19日月曜日から通常営業です。

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