うつろい
春に一歩ずつ近づく日々。うちの庭では、ピンクの花を咲かすワビスケは、2月から、蕾を毎日、土の上に落とし、どことなく侘しげに、咲き続けている。サンシュウは、ようやく黄色い蕾をつけて、徐々に開花中で、サンシュウの黄色い花を見ると、そろそろ桜の、ピンクな季節を待ち望む日々になってきた。うちの家で稼働中の「PS HR-C」という除湿型放射冷暖房機器の温水の温度は、2月は、45度で運転していたが、いまは、40度を切って運転中で、一日2万WH近く使っていた暖房の電力は、1万WH近くになって、消費エネルギーで、季節を感じるようになった。
Forward to 1985 energy life というアクションプログラムがあって、1985アクションという、家庭でのエネルギー消費量を賢く減らして、1985年当時の電力消費のレベルにすると、原子力発電をなくせる電力消費になる可能性があり、断熱気密が高い住宅を造り、パッシブなエネルギーを利用することで、冷暖房費を削減し、家庭の電力消費を現在の半分に減らすと、1985年当時のエネルギーになって、省エネをしつつ、暖かい、涼しい、居心地の良い、温熱環境の住宅を造ろうという取り組みで、そのサイトにアクションナビというサイトがあり、全国の住宅の温熱環境の計測結果をシエアーしているコーナーがあって、そこに、うちの家の温熱環境を公開している→。部屋の温度変化と電力消費をデータとして集めて、まだ、半年ちょっとで、一年を経過してみないと、分析できないが、体重測定とおなじようなもので、ちょっと不安で、なんだか楽しい。
もともと、この1985アクションは、東日本大震災がきっかけで生まれたプログラムで、3.11が起こったあと、その直後の4月に、このアイデアを主催者の、野池さんが、居酒屋であれやこれやと話して、その時、私は、工務店の1階の駐車場に、路面店としての縁側のようなものをつくるアイデアを話し、そこで、ノイケさんから、「まちのえんがわ」というコトバがうまれた。そういえば、土曜日の夜、BSプレミアムを見ていると、全編4Kドローンで撮影された、「女川 いのちの坂道」という東日本大震災のドラマがやっていて、何気なくみたら、最後まで引き込まれて、グッときた。久しぶりに、震災の時のコト、地震のコト、津波のコト、そして、ドローンで高い位置から撮影される地盤を嵩上げして復興していくまちの景色によって、建築のコトを考え、そして「人生」というコトを考えさせられた。
土曜日の朝、うちの家を3Dカメラによる撮影があって、内部を歩き回れるリアルな映像として表現されるらしく、どんな仕上がりになるのか、楽しみだが、ドローンによるドラマ撮影とか、建築設計図のBIM化とか、建築を表現する手法が、どんどん進化しているのを肌で感じる一日だった。
土曜日のお昼からは、吉野檜のサカモトさんが、W大学建築学科のF教授を連れて、吉野檜の天井と床を使った、うちの家の見学にお越しになって、なんでも吉野材の需要拡大を目的とした奈良プロジェクトというのがその研究室と奈良県であるらしく、大阪での公演会のついでに、立ち寄って頂いたようだが、とっても奇遇だったのは、前日の夜、うちの次男が東京から帰省し、家に居たが、次男は、その建築学科に在学中の3回生であり、唐突に、自宅の、テーブルを挟んで、目の前に、教授が座っているという、世の中の縁と偶然性は、とっても、不思議なものだなぁ…。
住宅相談会があった日曜日。午前中のAさんは、ひとり住まいのシニアな女性で、マンションの水回りはそのままで、収納と内装を改善して、居心地の良い住まいにし、快適な老後を過ごしたいという、ご要望で、若い世代のリフォームもいろいろあるが、シニアな世代が、快適な老後をすごすための住まいを模索している案件も数件あって、何れもが、素材と収納と温熱環境に対する関心度が高い。
午後からのBさんは、奥さまと1歳半のお子さんを連れ立ってご相談に来られた。生野区のある地域で、予算2500万円で土地を購入して新築をお望みで、建て売り住宅でも、ムツカシイ購入価格なのだろうが、建売住宅とは違う雰囲気の家を所望しておられて、それなら、建売住宅として建てにくいような、2間間口を切る小さな土地を低価格で購入し、車の駐車を諦めて、小さな木造2階建てを目指してみれば、個性的で小さな良い家が出来る可能性があるかもしれない….と、そんなコミュニケーションになった。
「うつろう」なんていうコトバが、ふと浮かんできた、そんな今週末だった。