鍋を囲む3夜

M1選手権があった日曜日。和牛かとおもったら霜降り明星だった。正解がないものを、審査するとか、評価するとか、点数付けるとか、ムツカシイものだなぁ…。どれもが、それなりに面白かったが、好みの問題なんだろう。関西大学の木造設計製図の授業をお手伝いして、10年近くなるが、生徒がプレゼンする作品に講評と点数を付ける日があって、正直、迷う。躊躇だってするし、これで良かったのかとおもう時もある。数学のような「正解」がないのだから、好みとか、目新しさとか、勢いとか、そんな要素も加味されるし、他の審査員の評価も微妙に影響し、あの人はきっと、このグループを評価しているから、ワタシはこちらに….みたいな気分に襲われる時もあって、評価とは少々残酷なゲームだな。

先日、うちの家で催した檜の宴で、Yさんが建築家ヨーン・ウッツォンの建築ネタをプレゼンしてくれて、そのなかに、同じデザインを繰り返して使う。というくだりがあって、ジャルジャルの漫才を見ながら、そのコトを想い出して、笑いやデザインに「繰り返し」を上手に使うのは大切だなぁ…なんておもいながら笑った。

本日は、住宅相談会があった日曜日でもあった。3組みの予定だったが、キャンセルが二組でて、一組だけの打ち合わせとなり、午前中のAさんは、女性お二人でリフォーム工事のご相談にお見えになり、1階が医院で、2階が住居の、その2階をどのようにリフォームするかをお悩みで、新築するには営業を休まなければならず、それは無理で、終の棲家とするためには、1階を住居としたいところだが、それも無理で、今の2階の住居のままでは、終の棲家としての、予算のかけ具合にも躊躇し、でも、今までの増改築の連続で、使いにくく、雨漏りや、夏の暑さにも耐えられず、インテリアデザインにもコダワリたいが、どんなのが良いか迷いも多く….と。うちの減築リフォーム工事をした家を見学してもらいながら、悩みをお聞きした。「仕事と老後と住まい」の関係性は確かにムツカシイ。

土曜日。協力会社の精親会のメンバーと恒例の忘年会を、布施の若葉で、鍋の宴で催す。忘年会の前に、会社の会議室で、1年間の活動報告と受注状況を1時間30分ほど、協力会社の皆さんに、報告するのが習わしで、今年は、台風被害の見積と工事状況や、人材不足に伴う現場監督と大工さんの募集状況など、今までと少々違う、「変化」をあらためて確認しあう会合だったが、人材不足や力量不足を問われる昨今、長年のお付き合いの精親会という「ものづくり」の職人集団のお陰で、なんとか維持できているのだと、意見とアドバイスが飛び交う鍋を囲みながら、あらためて確認と感謝をする夜だった。

そういえば、今週は、3回の鍋の宴があって、うちの家の冷暖房として、ピーエスという輻射冷暖房機を導入し、そのピーエスの営業の方と、導入のきっかけを作ってくれた北海道キムラの営業の方の4人とワタシで、輻射暖房機の効き具合を体感しながら、うちの食卓で、ふぐ鍋を囲んだ。それぞれが東京と北海道に本社を置く企業だが、共通の悩みは、人材確保と人材育成で、そんな話題が尽きず、5時間ほど、建築業界にまつわるあれやこれやの鍋の夜を過ごした。

もうひとつの鍋は、「まちのえんがわ」の本をコーディネイトしてくれている、施主でもある、コトバノイエのカトウさん夫妻と、東大阪寿町の海老蔵の具材を買ってきて鍋を囲む。人材不足や技術力不足の建築業界を、どのように粘り強く生き抜くかが印象に残る話題のひとつだったが、何よりも「おもろいこと」をやろう!というのが、遊びのテーマとしての共通の話題でもあった。2010年にカトウさんと始めた木村家本舗は、うちの家にカトウさんの本を持ち込んで本屋をやろう!というのが、他にない遊びとして「おもろいこと」だったが、さて、いまの時代、何が、「おもろいこと」なんだろう…っていうのが、その日の夜の鍋の具材のひとつだった。

そうそう、「笑い」と「おもろいこと」に一生懸命な姿に、癒やされた、日曜日のM1な夜だった。