勤労感謝の3連休

世間では、勤労感謝の日から、3連休だった今週。その今日の日曜日は、台風接近で中止となったタイル貼りトレーを製作するワークショップが開催されて、先週のランドセルワゴン製作のワークショップに引き続いて2週連続のワークショップとなり、しかも、通常は13時30分開催だが、貼ったタイルが乾くまでに時間が掛かるために、午前10時開催の、朝から、ちょっとバタバタする日曜日の朝だった。

今年は、「まちのえんがわ」すぐ近くのマンションに住むデザイナーのサッチーが、スリムなトレイに、デザインをし直してくれたお陰で、随分とスタイリッシュなトレイになり、あらためて、デザインの重要性を実感するのだけれど、それにしても、そんなデザイン的な魅力もあったのだろうが、お子さんを、おんぶしてまで、参加する女性の姿を見ていると、凄いなぁ…。素敵だなぁ…。とおもうわけで、「ものづくり」には、ある種の「瞑想的」な魅力が、潜んでいるからだと、眺めた。

ワークショップ開催中の午前中に、昨年の丁度今頃、木村工務店を退社した、トクちゃんが、彼女を連れだって、結婚の挨拶に来てくれた。新婦となる女性は、うちで、新築工事をさせて頂いた、お施主さんの娘さんで、ご縁というのは、不思議なものだなぁと、つくづく想う。「まちのえんがわ」のワークショップとして開催している、「お餅つき」が、二人の距離感を縮めるきっかけになったようで。なによりも、おめでとう! 在籍中は、木村家のリフォーム工事を手伝ってくれたこともあり、そのお礼も兼ねて、木村家のテーブルで、祝福のコトバを伝えた。この檜の天井を貼っている頃に辞めたんですわ….というトクちゃんのコトバが、吉野檜の天井板に吸い込まれていく感じがした。

勤労感謝の日と日曜日に挟まれた土曜日は、木村工務店では、通常どおりの仕事の日だった。職人不足が続く昨今、職人さんたちは、日祝以外は、一生懸命働く必要性に迫られる状況で、それを会社もサポートするのが大切なコトなのだろうし、それに、土曜日は、施主との、設計案件の打ち合わせや、現場打ち合わせが集中するのが昨今で、土日の連休をスムーズに取得できないのが、工務店の今の現状でもあるのだろう。

土曜日の夕方から、木村家で、「吉野檜の宴」があった。吉野檜の坂本林業のサカモトさんとの出合いによって、木村家のリフォーム工事で、吉野檜を貼るコトになって、床には、150mm幅の檜の板目を貼り、天井には、柾目の檜板を納材してくれて、その縁が、繋がって、サカモトさんが、いろいろな設計者や工務店の方々を連れだって、木村家の天井の檜の柾目板を案内してくれているのだけれど、サカモトさんもワタシも、吉野檜の艶やかで上品な良さを、フツウのLDKに活かしたいという共通の想いで取り組んだ内装で、それが、ひいては、吉野の檜の森の活性化に繋がればという想いでもあった。

その「吉野檜の縁」で、タケナカコウムテン関係の若い設計の方々と繋がりが出来て、先月は、お昼にカレーを一緒に食べたのだけれど、一ヶ月後のこの土曜日の夜は、「吉野檜な宴」を鍋で催すことになり、10人ほどで、夜遅くまで、歓談した。ヤマザキさんが、IPADでプレゼンしてくれた、オーストラリアのオペラハウスを設計した建築家ヨーン・ウッツォンの建築ネタを、食卓のテーブルのテレビに投影しながら、建築オタクな若い人達と、あれやこれやと談義するのが楽しい宴だった。それにしても、こういうプレゼンを、遊びとして、コミュニケーションのきっかけとして、楽しめるところに、建築オタクな若い人達の面白さがあるのだとおもう。

勤労感謝の祝日。毎年恒例となっている、関西大学の建築学科の学生を連れ立って、石井修さんの遺作となった、目神山22の見学会を催した。お施主さんが、別荘のように使われていることもあり、学生さんたちの勉強のためにという特別なご厚意で、見学させて頂けるのは、ほんとうに有り難いことで、アプローチの外部階段のデザインとか、石井修さん流の木組みとか、毎年毎年見て、ようやく少しずつ理解が深まる感じがする。

社員のハヤカワくんは、この目神山22の見学会に参加した関大の生徒でもあったが、今年からうちの社員となり、見学会の助っ人として参加してくれて、見学会終了後は、元町のジャズ喫茶jamjamに行くのです!と言う。20代30代の頃は、予定がない日祝に、ミナミや天王寺のジャズ喫茶によく行ったものだが、なんとなく、その感覚が蘇って、オレも一緒に行くわ!と会話しながら、目神山の急な坂を下って、甲陽園から三宮に向かった。

三宮の高架下を歩いて、元町駅からすぐの脇道の地下にあるジャズ喫茶jamjamに入ると、想像以上に大きなスペースで、しっかりした音量と音質で、ジャズがかかっていて、ちょっと嬉しくなった。ここから先の席は、会話出来ませんが、よろしいでしょうか。という女性店員のコトバに、頷きながら、左スピーカ前の横向きの席に二人並んで座って、珈琲を注文したが、左に、より過ぎて、音が聴きづらかったので、真っ正面の最前列の席に二人で横並びに座り直した。

東京のジャズ喫茶の新宿のDIGや木馬を案内してもらった何回かは、その方と二人で並んで、黙って音楽を聴き、その後に、歩いたり電車の中や家で、あれやこれやとジャズ談義を楽しんだものだが、SNSの時代になり、ハヤカワくんとは、LINEで繋がっているという、唐突な思い付きがあって、音楽を聴いて、時折、今掛かっているジャズを、建築や建築家に例えてみる、お遊びのメッセージをLINEで送りながら、二人で音楽を楽しんだ。そんな勤労感謝の元町での夕刻だった。