テキスタイルと時間感覚

ミナペルホネンの京都のお店に行く。テキスタイルに興味があるわけではないが、リフォーム中の家のソファーを、うちの家具屋さんのメローウッドワークスのイケダくんに造ってもらう予定で、そのクッションに使う、生地をどうしようかと迷った。家具の設計を白坂悟デザイン事務所に頼んでいて、それで、シラサカくんが、ミナペルホネンの名前を出してきた。

久しぶりに一日丸々仕事の予定がない日曜日だったが、土曜日の夜、LINEに、小学校の同級生からのメッセージが来て、柏原のリビエラホールに午前9時30分に集合し、自転車で富田林までランチを食べに行こうというお誘いだった。先週に引き続き、午前7時過ぎ、十三峠廻で、信貴フラワーロードから、のどか村を通り抜けて、坂を下って、柏原のリビエラホールの前に到着する。あちらこちらで、梅がとっても美しく微笑みを与えてくれた。小学校の同級生のおっさん4人で、石川から富田林の米夢に向かったが、生憎のお休みで、そのままワールド牧場の坂を上がって、キッチンハートという住宅街のお店で、おっさんランチをする。こんなところにある住宅のようなお店が、日曜日に、とっても繁盛しているのに驚いた。安くて美味しく見栄えの良いランチを食べで、皆のテンションが上がったからだろう、持尾展望台を目指して、坂を上がり、南河内グリーンロードを経由し、日本最古の街道、竹之内街道を下って、石川から大和川の出合いで、皆と別れた。大和川経由で家に帰りついたのが午後2時前だった。

  

疲れているはずだったが、お風呂で汗を流し、小学校の放課後の遊びの延長線上のような、同級生のおっさんたちに癒やされたのだろう、なんとなく活力が残っていた。それで、唐突に、奥方と、京都のミナペルホネンまで、生地を見に行くことになった。今日を逃すと、3週間先でないと、二人の予定が合わなかった。ところが、いつぞやの、東京の安藤忠雄展のごとく、服飾好きの長男の奥さんと、孫二人が一緒に付いてくることになった。孫と一緒は、嬉しいと言えば嬉しいが、面倒といえばとっても面倒。でも、いつも、全てが旅的になり、時間感覚に、大きな抑揚を与えてくれる。午後3時過ぎ、車で四条河原町に向かう。車の中で片言の日本語で語りかけてくる孫。道路はガラ空きで、パーキングも空いていて、1時間ちょっとで、店舗の中に立っていた。高速道路の充実で、京都がとっても近くなった印象。

ミナペルホネンの店舗の内装の心地良さに魅了されて、レトロな建物を品良く使い、床の大谷石の目地に木を目地棒として廻しているのが、とっても印象的だった。店員の方に、造り付けのソファーに、生地を使いたいことを告げると、奥から生地のサンプルを出してきてくれて、入り口のすぐ近くにある生地置き場のカウンターで、あれやこれやと丁寧な説明を受けた。お店のインテリアデザインとカウンター越しでの生地選びのシチュエーションが、気分を盛り上げてくれたのだろう。タンバリンという生地を座面に使い、そのベース生地と同じ無地を背もたれに使うという案に落ち着いたが、在庫とか金額とか実現できるレベルになるのかどうか…..。

とっても面白かったことは、表生地が磨り減るコトを想定し、裏生地に黄色や青などさまざまな裏生地が組み合わせられていて、経年変化を楽しむ椅子生地だという。無垢の床材や左官の壁材と同じ感覚なのだろう。家の無垢材の経年変化と同じ時間感覚で経年変化をする椅子やソファーの生地。さて、テキスタイルがどんな時間感覚を与えてくれるのだろうか。

そうそう、お店を出て、夕食でも食べて帰ることになり、孫二人連れでも入れる食事処を探すと、四条の鴨川の北東角にあるレトロなレストラン菊水に入った。何度も前を通っていたが、勿論初めて。というか、こんな切っ掛けでもないと、入るコトはなかっただろう。洋食屋さんの中から眺める四条通りを行き交うひとびと。一緒に食事をする、奥方と長男の奥さんと孫二人。朝から自転車での富田林のランチを想い出しながら、なんとなく不思議なシチュエーションの、いまここの京都。

孫はいつもちょっと妙な時間感覚を私に与えてくれる。