春の兆し

春がやってきたかのような暖かい日曜日。庭のワビスケは、蕾を開花させたあと、土の上に、そのピンクの花を、何個も落とし、その姿がいかにも侘しい。サンシュユの黄色い花の蕾も大きくなってきて、黄色い花の開花が気になると、やっぱり、なんといっても、桜の蕾が、もっとも気になる季節になってきた。

住宅相談会があった日曜日で、午前中のAさんご夫妻は、今お住まいの家の長屋続きの隣の家を以前に取得し、この2軒を一つにするリフォーム工事の予定だったが、銀行の担保価値は、土地だけしか評価されず、リフォーム後の家に資産価値を評価しないのが今の銀行の価値基準で、おもうようなリフォーム資金の融資を得られず、それで、更地にして、新築にすると、銀行ローンが組めそうだということになって、既に、プランと概算見積は出来ている状況で、住宅取得に特化したファイナンシャルプランナーの和田さんに、打ち合わせに参加頂いて「住宅ローン」についてのレクチャーを2時間たっぷりお話を伺った。

フラット35Sで融資を受け、長期優良住宅で税制優遇をはかる住宅が、いかにメリットが高いかの解説や、固定金利による繰り上げ返済のメリットなど、頭金の一部を残しておいて、出来るだけ早い時期に、繰り上げ返済に回した場合、利子返済を含めた返済総額が、少なくなるという試算などなど、パワーポイントによる、じつに判りやすい解説で、できれば、近いうちに、多くの皆さんに提供できるように、和田さんによる「住宅ローン」セミナーを開催したいとおもう。

午後からのBさんご夫妻は、ご主人の実家のある和泉市で、中古住宅を探して、リフォーム工事をする予定で、候補にしている土地を紙の情報とプロジェクターに映し出されるグーグル地図とを一緒に見ながら、あれやこれやと、好みの住宅のスタイルや、土地と周辺環境についての希望をお聞きしながら、お互いに感覚を調整をする打ち合わせだった。

駅より少し離れても、住宅地のど真ん中で、小さな庭で、家だけしか見えない周辺環境より、田園風景の見える土地を購入希望で、里山の古民家というのも候補だが、購入費用は安くても、リフォーム費用に想定以上の金額がかかるので、二の足を踏む状況だった。開発された住宅地でも、その最外周部にある住宅敷地は、周辺の山や川や畑や公園と接している場合も多く、そういう中古住宅をターゲットとしてみるのもひとつの選択肢かもしれない。と四方山話を含めながらの会話となった。

土地探しについての打ち合わせが終わろうとした時に、ご主人の実家の延床面積が33坪の2階建て住宅を二世帯住宅としてリフォームし、一緒に住んでみることは出来ますか。とコピーした図面を見せて頂いて、建築的なことや親子世帯のコミュニケーションの問題点など、あれやこれやと2世帯住宅の可能性を打ち合わせした。

「夫婦共働きと子育てと介護」という社会的問題は、昨今の働き方改革に、間接的に関わる問題でもあるのだろうが、二世帯住居という、「3世代が一緒に暮らす」というスタイルによって、その問題解決へのひとつのアプローチもあるわけで、その時に発生する各世代による好みとプライバシーとコミュニケーションの問題を、建築的な機能と手法によって、解決できる部分もあり、それに「まち」にある公園や広場やカフェやレストランやスーパー銭湯などの充実が、小さな面積の現代的2世帯住居の窮屈さを、「まち」が補う可能性もあるのではないのかとおもう。

「私」たちも、進行中の2世帯住居として、私の祖父との生活から私の孫との生活へと、3世代や4世代が一緒に暮らす家として、現在進行形で、自分自身が祖父という立場になって初めて孫という存在と暮らす喜びと問題点も経験し、2世帯住宅のコミュニケーションと建築的問題点を抱えこんだり克服したりしながら、「何世代も長きにわたり一緒に暮らす」という住宅の実験場のような気もしてくるわけで、そんな経験を少しでも皆さんにフィードバックができれば。という気持ちも少々芽生えてきた。

昨日の土曜日の午後3時からは、第二回「生野ものづくりセッション」が、木村工務店の加工場であり、行政のタケダさんのお声がけのお陰で、ものづくりに関わる、さまざまな業種のひとたち30名ほどが集まり、それぞれがさまざま材料と個性的な技術を使った、ものづくりについての、プレゼンとコミュニケーションを、「セッション」と称して楽しむわけで、その後の加工場での懇親会での盛り上がりは、そのセッションの密度に比例することになり、3次会も布施組とBARソケット組に別れたりしながら深夜まで及んだ。5月に第三回を開催予定。

そうそう、水曜日は、「暮らし向上リフォーム研究会」という温熱環境の野池さんをリーダーとする会合が木村工務店の3階会議室であった。

私たちは「部品交換型」ではない「本質改善型」のリフォームをみなさんに知っていただくために集まった工務店や設計事務所の任意団体です。
キッチンやお風呂を入れ替える、壁紙を張り替える、床をフローリングにする、といった「部品交換型」のリフォームにとどまらず、耐震性、明るさ、風通し、暖かさ、涼しさ、暮らしの機能性、劣化への強さなどの”住まいの質”を向上させ、暮らしを豊かで快適にする「本質改善型」のリフォームに取り組んでいます。

かれこれ2010年の3月に設立されて以来、8年も経過しているわけで、なかでもリフォーム工事の見積に関しては、工事内容によって温熱環境の改善を数値として評価できる見積書の可能性を、ここ4年ほどかけて、議論を繰り返しており、大詰めの作業が継続中で、そんな状況もあり、そろそろ、「本質改善型の暮らし向上リフォーム」を社会的に問いかけてみようということになった。

春の兆しとともに、さまざまな活動が、芽吹けば、嬉しい。