元気
ここ最近、携帯電話の指紋認証が、かなりの確率で、拒否されて、何回押しても、拒否されて、いつも暗証番号を入力するように促される始末で、冬になると、指先が、かさかさになって、こんなシチュエーションで、歳を感じさせるのが、現代的季節感ともいえるわけで、何回も繰り返し発生する指紋認証失敗で、寒い冬の到来と加齢を、私に突きつけてくる携帯電話。顔認証になったら、大丈夫なのか…..。
先週のステンドグラスワークショップに参加された男性に、「初めてですか」と聞くと、「いいえ、今年のお餅つきに参加したのですが、シャチョウさんとは、ipadの画面上で、お会いしました」と微笑み混じりでお答えになられた。そういえば、ワクチンを接種したにもかかわらず、インフルエンザにかかって、お餅つきは、ベットの上から、Skypeで参加し、そのベット上の姿が、お餅つき会場のiPadに映し出された。家族や社員にも伝染し、迷惑をかけまくったので、今年は、社員のワクチン接種を必須としたが、生憎、ワクチンの数が少ないらしく、会社近所のお医者さんで、社員全員一斉接種を実施しようとして、断られた。とりあえず優先的に私だけ、予防接種を済ませたのが、火曜日の事。
水曜日の朝。60代大工のTさんが、奥さんと一緒に会社に来られて、癌の手術が一段落したが、以前のように働ける体力もなく、大工道具を木村工務店で引き取ってもらい、引退しようかと、迷っている。っていう話だった。建築家の安藤さんは、5つも臓器を摘出して、いまだに、元気で、東京の作品展は、もの凄い評判良いらしいで。だから、メンテナンスとか、「まちのえんがわ」ワークショップの手伝いとか、リハビリ的に働きに来てくれたら、どぉ…..。なんて応じると、以前は、お金が大切やとおもってたが、いま、「元気」が、何よりも大切なコトやと、つくづく思いますわ!と、体験からでる言霊が、応接間の空間を漂った。
帰りがけに、会社前の現場で、若い大工が働いているので、それを見てから、帰ったらどぉ…..。と誘うと、嬉しそうに、一歩一歩かみしめるように歩きながら、現場に入ってきて、たまたま、休憩中の、若い大工が、腰袋ベルトを外して、床の上に置いていたので、T大工が、おもむろに、その腰袋ベルトを手に取って、自分の腰に巻き付けて、嬉しそうに、この重さや!この重さがエエねん!と呟いた姿が、目に焼き付くほどの、とっても印象的な光景だった。
金曜日の夜。孫イッケイの2歳の誕生日パーティーを催す。同居故の喜びでもある。自分の息子の時は、どうしていたのか。想い出しにくく、ちょっと、懺悔のような感情が湧いてくるが、それはそれとして、孫が誕生してから、毎日顔を合わす孫と共に、私の祖父や祖母のコトをちょくちょく想い出し、同じように可愛がってくれたのだと、おもうと、反抗期に、素っ気ない態度に急変した「私」を懺悔したい気分に襲われることが、たまにあって、同居故の神の悪戯なのだろうか。
土曜日。長男の幼なじみの女の子の結婚式に、長男と共に夫婦で招待されて出席をする。一緒に何度もキャンプやスキーに行った想い出。教会の結婚式に、バージンロードを歩く娘に、着物を着た母親が付き添う姿を見て、このシチュエーションの、背後にある、これまでの、さまざまな物語と苦労を、垣間見て、涙する。ま、これはこれとして、記念写真を一緒に撮るために、新郎新婦の席に行くと、あの女優ライトが、前と左右にあって、いやぁ、それが、とっても印象深かったなぁ…..。
今日の日曜日。今年最後のワークショップは、ピザワークショップで、会社すぐ近くの居酒屋、あそび菜のマスターイワオさんが、毎年講師をしてくれて、生地やソースなど、毎年、改良が加えられて進化している。うちのピザ釜は、オーソドックスなピザ釜と違って、最近流行のロケットストーブ的に、煙道が長く、効率良く釜の温度が上昇し、煙も出にくく、耐火レンガが蓄熱暖房的に機能して暖かい。「まちのえんがわ」のワークショップをやるようになってから、「道具」というものの、大切さと面白さを、あらためて知るようになった。それにしても、竈の「火」というのは、そばにいる皆の気分を、暖かく元気にしてくれるものだな…..。