コラボレーションと共有体験

コラボレーションというコトバとか、コラボとか、そんなコトバを使うと、必ずエエモノが出来そうな、そんな妙な錯覚に陥ってしまいそうになる、このご時世だが、そのコラボレーションというコトバの魔力を信じて、生野区に工房を構える、ランドセルの生田工房さんとコラボした「まちのえんがわ」ワークショップが、今日の日曜日に開催された。

生野ものづくり百景」に「まちのえんがわ」が、少々関わっていたこともあって、そこに掲載されている生田工房さんと縁が生まれて、ランドセル製作の工房の設計と施工をさせて頂いたのが、3年前のコト。その縁が引き続いて、今年の夏前から、スタッフの方々とのコミュニケーションのなかで、「ランドセルを置くための台」を造るコトが出来ないですかね…..。なんていう話が持ち上がっていた。小さな箱の上にランドセルを置く。その箱にキャスターでも付ける。そんなのがスタッフの方々のイメージの出発点だった。

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4月に建築家林敬一さんによるスツール製作のワークショップがあり、生田工房さんの要望されたランドセル置きが、ワークショップでの林敬一さんの、そのスツールのデザインに、影響を受けて、こんなランドセル置きのデザインに変化していった…..。ちなみに、6年前に林敬一さん設計で、木村工務店で施工した、「京都しるく」という店舗が、京都デザイン賞を受賞したらしく、こんなメールがハヤシさんからきた。

京都デザイン賞という賞があるのですが、京都しるくが京都商工会議所会頭賞を受賞しました。主催は公益社団法人京都デザイン協会というところで、わりと公的な賞です。賞は建築だけでなくて、ファッションやクラフトなどデザイン全般を対象にしています。

京都デザイン賞 website ↓

http://kyoto-design.net/award.html

表彰式・作品講評会
11/12(日)16:00-17:40
京都府庁旧本館1階旧議場(京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町)

交流会
11/12(日)18:30-21:00(受付 18:00~)
京都平安ホテル(京都市上京区烏丸上長者町上ル)

作品展
11/11(土)-12(日)10:00-17:00 入場無料
京都府庁旧本館2階正庁(京都市上京区下立売通新町西入薮ノ内町)

時として、建築家のデザインが、いろいろな人に刺激を与えて、ものづくりを触発させる時があって、まさしく、今回はそんな例で、もともとのハヤシさんのデザインのクォリティが高いが故に、そんな化学反応が起きたのだろう。

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↑ 林敬一さんのスツール

↓今回のランドセルワークショップは、製作時間と製作し易さを優先して、こんなデザインに落ち着いた。
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↑ 革細工が付けられることになった。

午前中に生田工房さんで、取っ手とポケットの革細工を製作した親子15組の方々が、お昼から木村工務店の加工場にお見えになって、ランドセルスツールを製作することになったのだけれど、今回は、生田工房さんで、ランドセルを予約した人だけに、ワークショップの案内が為されて、なんでも80組近い応募があり、抽選で15組になったそうで、この生田工房さんのランドセル人気に驚いたが、なによりもの驚きは、モノとしてのランドセルスツールのデザインの問題より、小学校入学前のお子さん達が、お母さんやお父さんやバアバアと一緒に、一生懸命ものづくりをする姿があって、それに応えて、ほとんど、経験したことがない、合板にビスを揉む作業を、慣れない手つきで、子供のためにと、頑張るご両親の姿で。

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さまざまなワークショップを経験してきたなかで、確かに、コラボという関係性を持たないと、現実化されないモノがあるのを経験できたのは、貴重な体験だったが、なによりもの体験は、小学校入学というひとつの節目を迎える子供さんのために、一生懸命頑張るご両親の姿を通じて、親子の記憶に残る、共有体験を持てたことが、最大のコトに思えてくるわけで、わざわざ神奈川県から新幹線に乗って、母と息子さんが2人で、大阪でもマイナーな下町の生野区にある、生田工房さんと木村工務店の加工場で、ものづくりを体験し、完成したそのランドセルスツールを、カートに梱包し、ゾロゾロ引きながら、嬉しそうに帰路に向かう、その親子の後ろ姿を見ると、尚一層、共有体験というものの大切さに感慨深くなってくるわけで。ワークショップに参加した親子の皆さんのお陰で、生田工房さんのスタッフの方々や、木村工務店のスタッフまでもが、記憶に残るようなワークショップを体験できたことに、感謝したいとおもう。

投稿者:木村貴一