エコハウスデザインクラブ
建築家の三澤文子さんが主催する「MOKスクール」というのがあって、ホームページには…..
MOK SCHOOL
「まっとうな木造建築」を普及させるための勉強の場
阪神淡路大震災において多くの木造住宅が倒壊し、たくさんの犠牲者が出ました。木造住宅に関わるつくり手は大きなショックを受け、木造住宅を根本から見直さなければならないと強く感じ、私たちはまず木造住宅に関わるつくり手たちの、とくに木構造のレベルを上げないといけないと考えました。そこで 1995 年から、木構造や木質材料の先進的な研究者や実務者たちを集い、共に勉強する場として MOK スクールを発足しました。

そのMOKスクールの分科会のような形で、MOKクラブがあり、そのなかに「エコハウスデザインクラブ」というのがあって「減築平屋の温熱・これからの住宅の温熱を考える」というテーマで、木村工務店前にある、うちの自邸(木村社長自邸)を題材にして開催されたのが水曜日の出来事。
このテーマの講師が岐阜県立森林アカデミー木造建築専攻教授の辻充孝さんで、彼がまだ三澤文子さんのもとで設計を学んでいた時、その設計担当だった現場を木村工務店で施工したのが、かなり以前のことで、それから三澤さんの勧めもあって、森林アカデミーに移り、水を得た魚のように力を発揮し、教授として活躍している姿をみると、人生って、面白いとおもう。

木村家に気密測定装置を設置し、気密を測定するのだという。エコハウスクラブの表題のように、2階建ての木造建築を減築することによって、耐震性能と断熱気密性を確保しようと考えた。その断熱性を確保するために、Q1ボードによる屋根断熱にし、さて壁の断熱材をどうしようかと考慮した時に、高性能グラスウールを充填し気密シートで、気密性を担保しようと考えたが、既存の柱の欠き込みなどが多く、丸太の小屋組などもあり、断熱欠損と隙間風を考慮し、吹き付け断熱で断熱性と気密性を担保することにした。吹き付け断熱は次のリフォーム時に改装しにくい問題や断熱性能値としてそれほど高くなく、悩んだあげくの決定だった。

最近の木村工務店の新築での気密性能は「1.0㎠/㎡」という数値を切ることを標準の目標値にし、より気密性を追求する新築は「0.3㎠/㎡」ぐらいを目標にしている。リフォーム工事ではその目標値を明確にしていないが、昔の新築基準の「5.0㎠/㎡」以下になれば…..というぐらいの感覚だとおもう。で、「4.0㎠/㎡」が木村邸の測定結果だった。実験中に隙間風の原因を探ると、木製建具の下框からの隙間風が主な原因のようだった。アルミサッシュにすれば「2.0㎠/㎡」以下になっていたのかもしれない…..リフォーム時でも「1.0㎠/㎡」に近づける努力をする時代なのだろう…。

自邸の見学と気密測定を終えて、会社の加工場で、辻さんによる分析結果のレクチャーがあった。12%の面積の窓から半分近くの熱が損失しているのが大きい。という。自邸の断熱気密性能を考えた時に、中庭があり、その4面の全てがガラス窓で囲まれているので、その木製建具のガラスはトリプルガラスにした方が良いのでは…..外壁に付加断熱をしたほうが良いのでは…というアドバイスが、その当時の北海道キムラの担当者からあったのだが…..コストや建具の重さを考慮して、やらなかった。やっておけば…..。
吐き出し木製建具の窓には障子をプラスし、ピンチブロックの納まりをもっと考えておけば良かった…..なんていう課題も残るが、リビングの吐き出し窓の障子は、リビングの天井が屋外の庇に一体的に繋がる天井デザインを考慮して、障子の上框の天井への溝じゃくりを嫌って、中止するコトにした。障子を設置していれば、断熱気密性能は、格段にアップしていたと思われる。木製建具の気密性能に関しては、引き寄せ金物に市配品の良い製品がなく、引き寄せ金物とピンチブロック納まりの関係性をもっと追求する課題も残る。
そんなこんなでリフォーム時の様々な断熱気密の問題を考慮し空調機は「PS」を設置することにして、以下のグラフが、年別と月別と日別の温熱環境の結果。



「PS」設置による年別の結果はハワイの気候に近い。

それはそれとして、家の仕上げには自然素材を使うコトにし、床は桧板と十和田石、壁はラスボード貼りの上に左官による黄土、天井は桧板。それらが「PS」の輻射冷暖房による壁床天井への蓄熱性を補完し、グラフのように温度変化を少なくしている。とも分析された。断熱気密性能がもっとアップすれば、より少ない冷暖房費になっていたのだろう。
そんなこんなで、さまざまな課題を提供してくれたエコハウスクラブのレクチャーだった。レクチャー後は加工場で懇親会をし、温熱環境と共に「木村家の時間軸を重ねた持続的リノベーション」にも関心を持ってもらい、さまざまなコミュニケーションで刺激になったMOKスクールだった。皆さん、ありがとうございました。




























































