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Memo 2001年9月号

◎編集部が徹底的に探した
建てるなら
じっくりせる
この建築家
39人

建築家
猪股浩二・原朱美

相生杉の家-T
施工=木村工務店

山に入って木を買う。それを施主や生産者も巻き込んで楽しいイベントにしてしまう。
ひとえに建築家の人柄がなせる技だろう。
施主も喜ぶが、生産者も使ってくれる人の顔が見られて喜ぶのである。
木を通じた人と人とのつながり、それが家にもやさしさをもたらしているのである。
ニ世帯が住む住宅であるが、
いわゆる二世帯住宅ではない。
部屋が分かれていないのだ。
もっと正確にいえば、個室と
いうものがほとんどない。か
ろうじて奥の和室が個室とい
えば個室だが、引き戸を開け
れば一続きになる。もちろん
区切ろうと思えば大きな引き
戸がその役割を果たすが、ほ
とんどフルオトアンの状態で
ある。「子供も好きなところで
寝ています」というほど、自
木で建てるというとデザイン的にすっきりしない和風の民
家のイメージがまだ強い。それに高いというイメージがあ
る。しかし、木は一番安くて一番高い素材である。トータ
ルわ予算の中でどこを選ぶか。節があっても太くてしっか
りした木をたくさん使い、ロタンヽウスみたいにならないよ
うにバランスを取っていくのがポイントだ。木が目立って
いるが、木ばがではなく左官も石も使い、家々のバラン
スを考えている。自然のもの用いて、塗ったり貼ったりで
はなくそれをそのまま使うという素直な使い方だ
由な使い方だ。床から天井ま
での窓もこの住宅の自由な性
格を表しているかのようだ。
「この家は一見R C のような
豪ですが木造です。イメージ
としては木の塊にしたかった
んです。普通の木造は柱があ
って、その間が何かで仕上げ
てあるという感じですが、生
地の間に左官が塗ってあかと
いうよりも土の壁とか木の塊
とか、要素を分けていったほ
うがスマートでバランスがい




家のデータ

所在地:大阪府堺市
設計:猪股建築設計事務所
使用用途:専用住宅
家族構成:祖父母+夫婦+
子供
構造規模:木造2階建
敷地面積:314.64.u
建築面棟:184.52u
( 建蔽率33 .22% 40許容%)
延へ床面積:143 .87u
( 容積率45 .73% 許容80%)

建築家プロフイール

猪股浩二(いのまたこうじ)
1 965年茨城県生まれ
1986年武蔵工業大学工 学部建築学科卒業
1986年 設計組織アモルフ
1995年猪股建築設計事 務所共同設立
原朱美(はらあけみ)
1966年大阪府生まれ
1987年大阪芸術大学芸 術学部建築学利率業
1987年設計組織アモルフ
1995年猪股建築設計事 務所共同設立
「一級建築士事務所猪股建築 設計事務所」
電話0722−95−8520

 

いと思います。」
「木造だと柱があって梁があ
って常に剛という考え方があ
ります。構造の解釈として剛
か柔ということなんですが、
今は剛という考え方が主流で
す。木に10cm置きに釘で合板
を打って固めてしまう方向で
すが、これはちょつとおかし
い。木を傷めていることにな
り、結果的に弱めているので
はないかと思います。それよ
りも構造事務所と組んで、筋
交いを増やし、柔な床でやり
たいんです。構造用合板で固
めない建て方です。結露防止
にもいいし、ではコスト的に
高いかというとエ程が減って
安いんです。」
素材をストレートにそのま
ま表現した家である。木も左
官もすべて一緒のベースで朽
ちていく家。自分も年取って
いくから、住む人とともに朽
ちていく自然素材の理想的な
家である。
建築家から一言

最近はハウスメーカーよりも
安くやらなければならない仕
事が多いてすね⊃コストが柱ト
けられないけれどこだわりが
ある人。大変ですが、若い方
が多いので何とかしてあげた
くなるっ木を見に行って愛着
をわかせて、施主も参加した
家づくり、いい意味て巻き込
みたいですね。一生に一度の
家づくりですから楽しくやり
たいですね。