2006年12月17日

構造補強

木造が大好きだなぁ・・・という、この感覚がどこから生まれてくるものか、時々、不思議に思う。「木」というものが持つ、 何かがそうさせるのかなぁ・・・・。といいながらも、鉄骨造や鉄筋コンクリート造もやっぱり好きで、施工もするし、設計もする。

リフォームで、木造の補強工事というのは、今の日本社会の中では、重要なテーマになっているよなぁ・・ ・。どのような方法で、構造補強をすれば良いのかと、大工や現場監督、現場監理者、構造設計者が集まって、 知識と経験を照らし合わせながら、知恵を絞り合う。いまだに、どれが、最適で、コストパフォーマンスが良いのか、模索中だなぁ・・ ・・・。

そう言えば、ビフォーアフターの2回目の「220歳の家」 では、「木構造研究所 田原」 の田原さんに協力してもらって、補強方法をいろいろと検討した。 硝子の手前に見える木造の斜材は横向きに通る材を通し貫という伝統的な土壁造りの壁の中に入っている工法と同じ工法で、 斜材の中を貫通させて、化粧で見せ、1階から2階までが一体の構造補強壁として成り立ち、尚かつ、 光も取り入れる事ができるようにと、考えて造った。右の写真のテーブルの奥に見えるV字型の木も横向きに通る材は通し貫として、 V字型の斜材を貫通し、壁面が光を通す構造補強壁として成り立っている。その他、小屋裏や壁面も様々に補強した。

テレビの収録時には、世の中にはそういう、構造設計者という人が存在し、そういう方と現場の人間が一緒になって、設計をし、 作業をしているのだということを、ちょっとだけ、言いたかった。それで、構造設計者の田原さんもカメラに収録してもらたのだが・・・・・。 まぁ、様々な理由で、結局は、放映されなかったのだ。その後に姉歯問題が起こったのだけれど、今となっては、構造補強の方法を少しだけでも、 放映されていたらなぁ・・・と、ちょびっと、残念に思う・・・・・・。

RIMG0021そんな事を思い出したのは、最近、鉄骨造の建物で、リフォームのために解体をして見ると、 鉄骨の溶接そのものが悪くて、補強をせざるおえない建物に出くわした。

鉄骨には「開先」とか「スカラップ」「スチフナ」とか・・・。鉄と鉄をくっつけるために溶接をするのだけれど、 その溶接を確かなものにするための、様々な方法があって、昔の鉄骨造には、そういうのが、きっちりと出来ていない建物が、 たまにあったりする。まぁ、最近の建物は、ほとんど、そんなことはないと思うなぁ・・。それで、木造の時と同じように、いやぁ、それ以上に、 構造設計のプロと鉄骨の鍛冶屋さんと、その他、様々な人たちが一緒に集まって、コストパーフォーマンスも踏まえて、補強方法を検討した。 いっそ、立て替えようかぁ・・・、なんて事にもなりかけた・・・・。

RIMG0023花火のように美しい火花は、「ガウジング」といって、鉄骨の「開先」 をとるための作業によって飛び散る火花だ。見ていて、美しいとも思うが、火の粉、大丈夫。と怖い気もする・・・・。

構造補強というのは、コストもそうだけれど、その他様々な、現実的な問題が関与して・・・・と。でも、そんなのを経験してくると、 「組織」にだって、大きな会社でも小さな会社でも、様々な、構造補強って、問題が存在してるのだなぁ・・・・、今の日本社会にだって、 そんな問題がいっぱいあるのだなぁ・・・・と思えてくる。まぁ、そんな事も含めて、「構造補強」って、個人的には、面白いし、 興味深い事だなぁ・・・・・・。

 

 

投稿者 木村貴一 : 2006年12月17日 12:17 « 静けさ | メイン | 檜木と想起 »


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